2020年11月6日金曜日

13年前の記憶・京丹波

(以前のウェブサイトの記述からの再構成)

明日、11月7日は立冬とのこと。
例年この時期は学校行事の準備などで何かと慌ただしく、なかなか京丹波を訪れることができない。そこで、過去の自分自身のウェブサイトの記述から再構成を試みた。

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13年前の冬、京丹波のあるお宅を訪れた。
そこには薪ストーブがあった。
赤々と炎が燃えていて、仄かに漂う木の香が心地良かった。
外は一面の雪景色。
幻想的だった。


薪ストーブにあたりながらふと自分自身が小学校に通っていたころのことを思い出した。
大阪市内、福島区の公立小学校だったが、市内でも有数の歴史のある学校だった。
当時の教室には石炭ストーブがあった。
校舎は築後数十年は経っていただろうという古めかしいが立派な鉄筋造。
教室の壁にはストーブ用の排気口が設えられていて、
ストーブから排煙パイプが繋がれていた。
大きな球形のくもりガラスの照明ランプが高い天井からぶら下がり、
その中からは、白熱電球が温かみのある光を放っていた。
油びきの木の床に腰板。
そして、白い壁と天井のコーナーには、レリーフの飾りが施されていた。

今考えてみると、何ともレトロな雰囲気だ。
そういえば1990年代の半ばに初めてハンガリーを訪れたときに見たどこかの小学校に何となく似ていたような気もする。

毎朝、先生が教室に来て最初にする仕事は、その石炭ストーブに火を入れることだった。
まず新聞紙や木切れで火を焚きつけ、そのあとで徐々に石炭をくべていく。
うまく火がつくかどうか、子どもたちは目を凝らしていた。
そして、次第に温まっていくのだ。
無事に火がついてからようやく1時間目の授業が始まる。

給食のときに、その石炭ストーブでパンを焼くのがとても楽しみだった。
担任の先生の計らいで、一人分3本のコッペパンのうち、1本だけを全員順番に焼かせてもらえた。
教室中に香ばしい匂いが漂い、みんな大喜びだった。
とてものどかな光景だった。
その校舎は改築されて、今はもう残っていない。

訪れたお宅で薪ストーブにあたりながら不思議と昔の懐かしい記憶が甦った。
これも薪ストーブの癒しの効能によるのだろうか。
そんな薪ストーブを自分も一台ほしくなった。
でも、大阪のマンション住まいの身には遠い存在のようだ。